「YOUR TIME」を読んで

読書

はじめに

近所の図書館で気になったので鈴木裕さん著作のこちらの本、YOUR TIME(ユア・タイム)を読んでみました。印象に残った箇所をまとめていこうと思います。

思考法の二つのタイプ

「拡散的思考」・・・頭の中にとりとめもないイメージや記憶を遊ばせるタイプの脳の使い方。心と体がリラックス状態に入ったときに現れやすい傾向がある。創造的なアイデアを生むにはこのタイプが必要。

「収束的思考」・・・ひとつのことに意識を集中させ、特定の情報に脳のリソースを使う脳の使い方。時間を気にしながらToDoリストを処理したり、締め切りに追われてスケジュールをこなしたりと、目の前のタスクに意識を向け続けねばならない場面では、この思考に切り替わる。

残念ながら、人間の脳は拡散と収束を同時に使えるようにはできておらず、集中力を高めようと思ったら創造性はあきらめるしかない。

つまり、効率を求めてばかりいると創造的なアイデアが浮かびにくくなってしまうらしい。

緊急と重要のタスクについて

「単純緊急性効果」・・・人には時間制限があるだけで「このタスクは重要に違いない」と判断してしまう心理がある。「もっと大事なことがある」と頭ではわかっていても、私たちの意識はつい緊急のタスクに向かってしまうものになっている。

ただ、これにまどわされずに重要なタスクを選べる人が一定数いる。

それは【人生で大事なことが明確】だった人である。

時間配分がうまくなるのではなく、人生の価値観をあらためて確認しておくことでモチベーションが上がり、生産性が高まると言える。

ToDoリストが効果を発揮しやすい人

●予期が多すぎる人

違う作業をしているあいだに、「頼まれた資料集めを忘れていたから、これを終わったらやろう・・・」や「部屋の掃除が途中だから帰ったら手をつけないと」といった未完の予定が浮かび、それが頭から離れないタイプ

●想起が否定的な人

「このタスクは以前もうまくいかなかった」や「明日使う資料を置き忘れたのでは・・・」などのネガティブな思考が浮かびやすく、不安にとりつかれやすいタイプ

逆に、あまり過去にとらわれない人や、マルチタスク作業が得意な人には、ToDoリストが効きづらいと言える。

うーん。私にはToDoリストが効きそうだ。一つのことをやりながら他のことも思い浮かんだりしてしまうので。

時間を有効に使えるようになる技法

「ロールレタリング」・・・将来の自分に手紙を書く技法。

まず、3年後の自分の悩みを相談する内容の手紙を書いてみる。その際には、「具体的な困りごとの内容」「いまの自分の考え方」がふくまれるように気をつける。

次は3年後の自分になったつもりで、その自分からいまの自分への返事を書いてみる。その際には、「○○と考えてみたら?」「○○してみたら?」という具体的なアドバイスをふくめるようにする。

これ、昔からメンタルヘルスの現場でもよしとされてるんですよね。

将来の自分から今の自分へなんて言ってあげるか、考えてみるとポジティブな言葉が思い浮かんでくるので、前向きな解決策が浮かんだりします。

実際に手紙を書く時は5~10分ぐらいのやり取りでいいそうです。

大事なタスクに集中するには

「エンゲージメント速度」を上げる

「エンゲージメント速度」・・・「仕事を始めてからどれだけ早く認知を切り替えて集中できるか?」というポイントを表す。

この速度を上げるためのステップがこちら↓

❶仕事に関していま差し迫っている、または気になっているもっとも重要な問題を3つ選ぶ(例:会議の準備、プレゼン資料の制作、Aさんへのメール返信など)

❷プライベートに関していまもっとも差し迫っている、または気になっている重要な問題を3つ選ぶ(例:税金の支払い、壊れた棚の修理、友人との仲直りなど)

❸スマートフォンのメモアプリに、❶と❷で選んだ問題をすべて書き出し、その最後に「今日、私は仕事とプライベートの問題にとらわれず、やらねばならない重要な仕事や義務に集中することを許可します」と書き込む

このやり方で意識の切り替えスピードが上がり、1日の作業量も大きく増えるらしい。

生きがいチャート

生きがいの感覚が強い人ほどストレスに強く、免疫システムが健全で寿命が長く、人生の幸福度も高いことがわかっている。

情報化社会による現代人の呪い

●話題のドラマや映画を倍速で大量に視聴するが、内容が頭に定着せず、”観た”という記憶しか残らない(私はこれ読んだ時、笑っちゃいました)

●SNSや動画視聴、ゲーム、マンガアプリを隙間時間に詰め込み、いつも何かに追われるような焦りが強い

●あらゆる情報が手に入るせいで、「なんでもできそうだ」という感覚だけ強いものの、なんら具体的な成果が得られない

●「成長しなければ」との思いだけが強くなるも、何も起きない現実とのギャップに疲労感と虚無感を抱く

これらの問題を、神経科学者のダニエル・レビティンは「何もかもが速すぎて多すぎる世界では、些細なことと重要なことの区別が難しくなる」と表現している。

認知の耐性がない人ほど深い思考ができない

技術が発達したおかげで作業の効率と生産性が上がったのはいいが、そのせいで現代人から忍耐力が失われ、私たちは少しの遅れにも耐えられない体になってしまった。

認知の耐性とは、明確な答えをすぐ求めずに、あいまいさを放置できる能力のこと。

認知の耐性がない人ほど深い思考ができず、創造的なアイデアを出すのが苦手でメンタルを病みやすいと報告されている。

認知の耐性を伸ばすには

小説を読むのがいいらしい。

良質な文学ほど簡単な答えを出さず、読み手に複数の解釈を許す作品が多いのですぐに結論を出せないから情報の処理方法がスマホなどとな異なり、耐性が伸びると言える。

最後に

時間効率を求めるのもいいが、心に本当の余裕を持つには時計の針に耳を傾けるべきときと、それを無視すべきときとを意識すること。その切り替えの感覚さえつかめれば、創造的な生活をすることも可能になるだろう。

以上が私がこの本を読んで印象深かったところでした。

皆さんも、もっと内容をしっかり把握したかったらぜひ一度、手に取って読んでみてください。

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